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日誌

「出口」を目指す環境づくり

 

今年も残すところあと約3週間となりました。街にはクリスマスソングが流れ、スーパーの店頭には年越しグッズが並び…と、年末がじりじりとにじり寄ってきているのを実感する今日この頃です。

 

 

「学年」という区切りのある世界で生きる子どもたちにとって、年末年始というのは「次の学年」が迫ってきていることを感じ始める時期ではないかと思います。私タナカが子どもだった頃を思い返してみても、この時期はクリスマスプレゼントにおせちにお年玉…と楽しみなことが盛り沢山な一方、「もうすぐ〇年かぁ…」と、やはり次の学年への希望や不安が次第に胸に去来し始める時期だったような気がします。

 

 

そういえば、大学院を一年間休学した時と大学を卒業し社会人となった時、「学年」という概念から解き放たれた自分が思いのほか解放感を感じたことに驚いた、という出来事がありました。「学年」の変化によって1年ごとに分かりやすく自分を取り巻く環境とライフステージが勝手に変化してくれる気楽さはありながらも、「学年」という区切りが本来スパッと「区切る」ことなんてできない自分の人生を区切ることへの違和感のようなもの、それにより生じる焦りや不安のようなものが自分の中に存在していたんだな、と気づいたことを覚えています。

 

 

もちろん大きな企業だと入社年度を同じくするメンバーを「同期」と呼ぶなど、社会人になってからもその環境によっては学年的感覚が存在しやすいのかもしれませんが。

 

 

 

 

 

 

 

 

学びの森は、学校に比べ「学年」という区切りが緩やかです。

 

 

中2であっても小学生の分数の計算に不安があればそこに戻って分からないところを分かるようにしますし、高校生であってもbe動詞と一般動詞の使い分けに不安があれば中学英語の基礎に戻り曖昧な部分をクリアにしていきます。もちろん進度が早い生徒はその学年で学ぶべき内容以上のものを学ぶ場合もあります。そもそも教室やゼミ学習自体が「学年」の区切りを前提としておらず、異学年が一緒に学ぶ空間になっています。

 

 

ですが、各教育段階の「卒業」というタイミングは、基本的に常に意識しています。

 

小学校卒業、中学校卒業、高等学校卒業。

 

学びの森に通う生徒たちは主にこの3つの「卒業」を経験することになる年齢層の生徒たちです。

 

このように、学びの森の生徒たちは基本的に各学校の「卒業」のタイミングで、いずれ学びの森からも「卒業」していきます。(もちろんここが合わなかったり何か事情があったりする場合は、卒業時期を待たずに学びの森をやめる場合もあります。)

 

 

このうち「高等学校卒業」を迎える生徒たちは、それが「学びの森からの卒業」とほぼイコールとなります。学びの森は小学生・中学生を対象とした「フリースクール」と、高校生を対象とした「ハイスクール」の2部門を持つ学びの場であり、高校生にとっての次の進路を提供することはないからです。(「学びの森フリースクール」を卒業した小学生が中学入学後も学びの森に通い続けること、中学生が学びの森ハイスクールに通い続けることはあります。また、高等学校卒業後浪人生として学びの森に所属し続けることもありますが、もちろん進路が決定すると卒業していきます。)

 

 

そんな学びの森からの「卒業」を来年度迎えることになる生徒たちのうち、大学進学を積極的に希望する生徒たちに対して、受験準備のための学習指導、進路ガイダンスを徐々に本格化させています。

 

 

 

 

 

 

 

 

具体的には、

 

●現在の不安を共有しながら希望する進路を聞き取り、情報を整理するヒアリング

●入試形式、受験方法など大学入試の全体像を説明するガイダンス

●今後入試本番までに何をいつ頃どうやって仕上げていくかを説明する科目ガイダンス

●ひとりひとりの希望や適性に応じて行う個別の学習指導

●受験生が集まり共に学ぶ集団形式のゼミ授業

 

といったものが挙げられます。

 

もちろん、ここに来るペース、そのほかの優先すべきこと、こなせる課題量等それぞれの今の状況を考慮しつつ進めていきますし、こういった学習を希望しない生徒はこれらは受けず、別の形で学んでいくことになります。

 

 

いつか必ず巣立つ場所である以上、先の道になるべく接続できるよう、本人の希望する「出口」を目指す環境を整えるのは我々の仕事です。

 

私たちスタッフはこれまでに見てきた卒業生たちの経験があるため、進路を考えるにあたり「こういう不安はこう考えるといい」「この科目はこれさえやっていれば大丈夫」、そして「フリースクールからの進路実現は可能」といった確信を持っていますが、生徒たちにとっては全て「初めて」の経験。誰だって「初めて」なことには不安も恐怖も焦りも感じるもの。

 

それを忘れず、こちらの考えやイメージ、行動の理由や根拠、過去の事例等をその都度ちゃんと伝え、生徒たちの思いや考え、感じていることを共有しながら進めていきたいと考えています。