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日誌

ボクは病人として生きたいわけじゃない

そう、かかりつけのドクターに話をしたのは、発達上の課題を抱えるサトルでした。彼は小学校のある段階から落ち着くことができなり薬を服用していました。ただ薬を飲むと学習に対するやる気が低下し、薬を減らすとまた落ち着きがなくなるというジレンマの中を苦しんでいました。そして受験前、その葛藤がピークを迎えました。
「ボクは病人として生きたいわけじゃないんです。普通の高校生として生きていきたいんです」


そう言って、彼は薬を飲まないことをドクターの前で宣言します。そして、夏期集中講座、冬期集中講座にも参加して、その実力を次第に発揮するようになっていきます。
不登校として知誠館にやってきたサトル、最初は集中できないことにイライラして奇声を上げるようなこともありましたが、今では元気に高校生活を送っています。「まるで生まれ変わったようです」とおっしゃるお母さんの笑顔に、私たちは本当に安心を覚えました。
彼らの主体的な意志がどうあるのか? 大事なことはそこをきちんと見極めていくことだとあらためて思いました。「普通の高校生になりたい」と主張したサトルは、その主張に沿って普通の高校生活を今も送っているのです。
※プライバシーに配慮するため、文中に登場する事例はすべて仮名とし、状況に応じて加工が施されております。