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日誌

脱線方丈記

知誠館に通う生徒と地域の方々がともに学ぶ、「アウラ・ブッククラブ」。
先月に引き続き、鴨長明の『方丈記』を読みました。


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治承4年に洛中に起こった辻風、いわゆる「治承の辻風」、そして「福原遷都」まで読もう!と始まったこの日のブッククラブ。
治承の辻風から読み始めた桜井先生率いるブッククラブの一同。辻風は今で言う「竜巻」なのではと言われているそうです。
洛中の北東から南西にむけて吹き荒れた竜巻は、家を破壊し、門を吹き飛ばし、屋根(当時は檜皮葺)を飛ばし、響く轟音でひとの声も聞こえず、その修理に追われるひとの中には怪我をしたひとも数多…
それほど大きな被害をもたらす竜巻だったようです。
方丈記の中でこの辻風について、長明はその光景が目の前に浮かぶような、まるで写真で切り取ったかのような一瞬を次々に描写していきます。
その書きぶりは、そのほかの同時代の記録とは全く異なるリアルな、肌で感じる壮絶さを物語るもの。
そんな治承の辻風発生時、長明26歳。方丈記を完成させたのが、長明58歳の頃と言われています。26歳の頃に起こった災害を、60前の作品でなぜそんなにもありありと描けるのか…謎が深まります。
ちなみに、参加者のだれひとりとして予習なぞしてきておりませんし、そもそも予習の必要はまったくありません。それでも方丈記がするすると読め、長明の作家としての興味深さ、おもしろみを感じられちゃう桜井マジック…(予習してこいなんて言われたら真っ先に脱落する自信あり)
…と、ここまで読んだあたりから、方丈記本文に出てきた「檜皮の屋根」は現代だと神社で見るよね、という話を皮切りに脱線が始まります。
神社といえば平安神宮、あの神社はどういう経緯で出来たものか知ってますか?
平安神宮のある岡崎のあたりには平安時代こういった塔がありまして…
疏水は実は運河としての意味もあり、蹴上にあるポンプ室は赤坂離宮の設計者である片山東熊で…
岡崎の京都会館は前川國男設計で、彼はル・コルビュジエの弟子であり丹下健三は前川事務所の出身で…
と、なぜか最終的に日本の建築史にまで話に及ぶ…
それがまた面白く、もっと聞きたい!の声にどんどん脱線話が膨らんでいき、結局福原遷都までたどり着かずこの日はタイムアップとなったのでした。
…とこんな風に、気軽に参加したひとたちで面白く方丈記を読みつつ、脱線しつつゆったりまったり進むアウラ・ブッククラブ。
次回の開催は、8月23日(火)10:30~12:30の予定です。
お申し込みは 0771-29-5800 まで。
ぜひお気軽にご参加ください!